12錠シートの医薬品は何故発売されてしまうか?

薬局業務改善・効率化

中小企業診断士として、業務効率化に関する助言や提案を行う機会がありますが、特に調剤関連業務に関しては、医薬品メーカー側に現場の要望やニーズが届いていないのでは?と思うことが時々あります。

最近も、現場の声が届いていない??と思う一例として、日本の医療現場で大変良く知られた整腸剤の包装変更における12錠シートの登場がありました。

当該製品は、従来はSP包装と呼ばれる患者サイドにとっては正直取り出しにくい包装でしたが、2020年後半にこのSP包装・10錠シートからPTP包装・12錠シートに切り替わりました。

当初は、1日3回・1回2錠服用、つまり1日6錠が基本用量のため12錠包装になったとの伝聞情報でした。
もちろんPTP包装への変更にについては品質管理面など様々なメリットがあります。しかしながら、12錠シートへの変更については、元々が10錠包装ですし、恐らく1日3錠服用での処方の方が一般的だと思われますので、この包装変更により全国で計数調剤ミスが多発していたと思われます。

そして、半年も経たない位で、この12錠包装を廃止して、今後は10包装に変更になることが発表されました。

もしかすると、細粒タイプとの用量(細粒1g=錠剤2錠)の整合性や、1日3錠⇒6錠単位の処方への誘導も思惑にあったかもしれませんが、流石に調剤現場への影響や、変更した場合の混乱発生リスクを事前に検討すべきだった思います。

なお、他に膵消化酵素剤で、1日3回、1回4カプセル服用が基本用法・用量のため、1シートが1日分で12カプセルの製品がありますが、こちらも調剤計数過誤が高頻度で起きていると思われます。

以前から思っていることですが、このような事象が生まれてしまうのは、現場から意見や要望を発信する人が少ない、または(現場の方も)発信先がわからないというのも原因としてあるかもしれません。

他にも、一部の湿布において、6枚入りと7枚入りの両方販売されているケースや、配合剤のシートに各成分名だけでなく、成分量もプリントしてくれないのか?、GS-1コードのプリント位置がなぜバラバラ?など、この業界では何故?と思ってしまうケースが多々放置されています。

但し、個々の小さな声だけでは影響力にも限界があるので、業界団体などが要望を出すなどの取り組みの方が現実的かもしれませんが・・・

とにかく、既成事実をそのまま真面目に受け入れる、従うのいった姿勢だけでなく、なにかしら意見したり、アクションすることも業務の効率化を図る上で大事だと思います。

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