6月から7月にかけて、セレコックス錠やゼチーア錠、メマリー錠、レミニール錠など、注目度が高いジェネリック医薬品が多数発売されていますが、昨今のジェネリック医薬品の浸透や、体制加算維持の目的もあり、各薬局でも積極的に準備・採用を進めているかと思います。
特に、売り上げ期待が大きい大型製品では、10社を超えるメーカーから販売され、何を基準に選ぶか悩むところかもしれません。そんな中で、特に本部の指示や納入価格によるしばりが無ければ、現場としてはオーソライズドジェネリック(AG)が最も採用しやすい製品として第一候補になるところも多いでしょう。
この「オーソライズド・ジェネリック(AG)」は、薬局業界内では既に浸透した知識ですが、先発品メーカーから許諾を得て、原薬、添加物および製法等が先発品と同一のジェネリック医薬品になります。つまり、名前が少し変わるだけで、実際中身は全く同じで価格も安くなります。
先発品メーカーとしての目的は、自社先発品のジェネリック医薬品への切替によって落ち込むシェアや売上減をカバーすることにあります。ある意味ダメージコントロールになりますが、特許切れ後のジェネリック医薬品への切替が速い海外では、以前より浸透した販売戦略です。
一方、日本では暫くAGは発売されませんでしたが、2013年に発売されたアレグラ錠(サノフィ)のジェネリック「フェキソフェナジン塩酸塩錠「SANIK」」が国内では一番最初のAGだったと記憶しています。
当時日本でも急速にジェネリック品の浸透が進む中で、ようやく日本でもAG発売による販売戦略が始まったと、とても印象的な出来事でした。
それから7年経過していますが、現在は外資の製薬メーカーだけでなく、内資メーカーによるAG発売も積極的に行われています。
オーソライズドジェネリックは、患者の理解を得られやすい
このAGは、現場としては、製法や添加物がまったく同じということで、アレルギー体質の方や「なにがなんでも先発品」にこだわりたい方、処方医からも理解を得られやすいとう利点があります。
意向を確認しながら全員をジェネリック医薬品に変更することは至難であることは、現場で誰でも経験しているでしょうから、より理解が得られやすいオーソライズドジェネリックは確かに使いやすいでしょう。
一方で、先発品企業が自社製品のシェアダウン・売上減をカバーするために、AGを発売している経緯を知らない薬剤師さんもいくらかいるようです。
都合の良い説明の経緯を知っておくことも大事
例えば、メーカー作成の指導せんを用いながらオーソライズドジェネリックについて
「名前は少し変わりますが、今飲んでいる薬と中身が全く同じで、値段が半分近くになります」
と言われたら、あまりに話が出来すぎていて、むしろ「怪しい」と感じる人もいるかもしれません。しかも、先発品がそのまま併売されていることを知ったら尚更あやしく感じるでしょう。
医薬品の承認や薬価制度がなせるワザですが、通常のビジネスではまず起こらないことなので、ビジネスの現場で日々働いている方から見たら、確かに奇妙な話です。
その辺は、患者さんの理解力も考慮して、販売戦略としてのAGの発売経緯も併せて説明したほうが納得してくれるかもしれませんね。
コメント