今年に入り、中小企業診断士試験の経営情報システムの講師をさせて頂く機会がありました。
一次試験に関わるのはほぼ3年ぶりで、多少知識のギャップに不安を感じていましたが、また違った立場からの再学習で自分自身もとても勉強になりました。普段はウェブ関係の実務に広くかかわっていますが、それに関連したネットワーク技術関連の学習では、あやふやだった知識が再整理され自分自身にもとても役立っています。
一方で、いかに「効率的に学習し本番で合格点をとる」という視点で見ると、改めてこの試験の対策のしづらさを感じましたので、今後のために記事を残したいと思います。
憶えることが多いわりに・・・
講義の準備のため、改めて過去問やテキストの内容を確認して思うことは、(他の科目もそうですが)とにかく憶えるべきとされる情報量のわりに、試験で出題される量が少ないということです。
受験生の時はとにかく憶えることに必死でしたが、講師の立場になって一番感じたのがこれでした。単語レベルで言うと、20のことを憶えて、やっと1つ位が試験にでるような感覚でしょうか。
恐らく(決してメイン科目ではない)経営情報システムだけでも、100時間位の学習量を費やすことは珍しくないですが、結局25問しか出題されず、憶えた知識が出題されるかどうかは、かなり運任せな点があります。(そのうち難解統計問題はほぼ捨て問ですし)
ちなみに、IPAで実施している応用情報処理試験(持っていると経営情報は免除!)は、総試験時間が午前・午後で計300分もありますが、問題数は多いものの半分弱は例年過去問と類似な問題が出るため、過去問演習を行っていればある程度得点が保証されるため、非常に対照的です。
とにかく、憶える知識量の割に本番の問題数(25問×4点)が少ないことが、この試験の対策を難しくしていると思いました。
4点の重み。超サービス問題は、ある意味残念
そして、もちろん数は少ないですが、常識的に考えれば正答できてしまうようなサービス問題もあります。
(令和元年だと問20「中小企業のセキュリティ対策ガイドライン」)
これはある意味受験生にとってはありがたいものかもしれません。しかし、学習量に関係なく点数を稼げる問題より、努力している受験生が報われるような問題が多い方が、指導する方としては受験生のモチベーションを上げやすいと感じました。
また、例年2問出題されていた統計問題については、2018年は出題なし、2019年は易問が1問のみと傾向が変わりつつあります。この統計問題の理解には膨大な学習量が求められるため、従来から捨て問扱いにしている受験生・受験機関が多いですが、100点中の貴重な4~8点が、4択による運の要素で決まってしまい、ある意味不公平な問題なので、できれば今後も出題されないことを願います。
知っている選択肢を選びたくなる(そして間違う)
これも、それなりに頑張っている受験生が報われない要素の一つになりますが、最終的に2択にまで絞られた場合、どうしても知っている用語がある選択肢を選びたくなっていまいます。しかし、それに引っ張られて間違いやすいものが結構あります。
結局このようなケースは、広く浅くの学習が仇になってしまい、指導する方としても歯がゆくなってしまいますね。
浅く広く学習するレベル感を早めに掴んで学習を
こんなわけで、講師の立場で試験を見直すと、改めて非常に苦々しい試験だということを感じました。
一次試験科目全てに言えることですが、市販テキストは新知識がどんどん継ぎ足しされて、とにかく憶えることが年々多くなっていきます。(特に経営情報は10年位前の出題内容が復活することがある)
しかし、試験ではごく一部しか出題されず、しかも、毎年新しい知識も問われるので、80点以上取るのは極めて難しい試験と言えるでしょう。
それでも、頻出と言われるテーマも少しあります。例えば近年だと、RASISやDHCP、暗号化方式等といった辺りが毎年のように出題されているので、そのような傾向を把握して学習することも重要です。
その為、他の科目との時間配分も考えながら、まずは50点台を確実に取れる学習することが重要になります。
そして、何よりも注意したいのは、とにかく足切りにだけはならないようにすることです。
この試験の特徴として、例年のように「ドボン科目」とも呼ばれる、異様に難易度の高い科目が登場します。例えば、経営情報では平成27年、28年に足切り受験生が続出しています。運悪く「ドボン科目」の年に当たった場合は、最低でも40点未満にならないようにしなければなりません。
その為、7科目全体の学習進捗をコントロールしながら、問題のレベル感や広く浅く学習するペースを早めにつかんで、全科目平均で60点以上取れるよう効率的に学習を行って下さい。
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