漢方薬の調剤を見れば、調剤過誤に対する意識度がわかる(かも)

薬局業務改善・効率化

調剤ルールに関して、一部大手チェーンではガチガチにマニュアル化されていますが、中小チェーンではあまり業務の効率化が図られておらず、細かいルールは現場毎にお任せ、同じ会社内でも薬局毎に大きくやり方が異なっていることは珍しくありません。

例えば、HS包装のゴム止め方法、一包化包装の束ね方などが良く言われる事ですが、あまり注目されることのない漢方薬の調剤方法を見ると、調剤に対する意識の違いが意外と見えてくるかもしれません。

漢方薬は7連で一束。ビニール帯で束ねられている。

ツムラの漢方薬は、3包1連、7連で一束になっており、中央部分がビニール帯で束ねられています。もちろん分3処方で、7日毎の処方なら、束ねた状態を崩すことなく調剤できますが、分数や日数も状況により変わりますので、束をばらして調剤する必要があります。

また、最終監査者の立場からすると、ビニール帯で束ねられた状態=21包=分3・1週分と判断することで、計数処理時間を短縮・簡便化していると言って良いでしょう。逆に言うと、その状態ではない場合はより注意して監査をする必要があります。

その為、束をばらした後の調剤方法で、そこの薬局の意識の高さを見ることができます。

束の状態を崩した後も、ビニール帯をつけっぱなし(最悪)

そんな所は殆ど無いと思っている方が多いかもしれませんが、やっているところは実際にあります。

下の画像は7連一束から、わざわざ1連だけ抜いて、6連で中央のビニール帯がつけたままの状態です。はっきり言って7連の状態との見た目の区別がつきません。
最終監査者が、ビニール帯があることで7連の束であると判断していれば、そこで数の認識のづれが生じてしまいます。

さらに、ビニール帯の間に半端分(1包や2包)を挟める所もありますが、これも最終監査者の見落とし防止の為にもやめた方が良いでしょう。

もっと最悪なのは一連だけ抜いて6連になった状態をそのまま箱に戻すことです。これでは、次のピックング作業の時に、わざと間違えるようにしているようなものです。

半端分を同じイラスト面の上にゴム止め(配慮不足)

ここは結構やり方がわかれる所ですが、最終監査者に対する配慮がわかるポイントです。

下の写真のように、半端分(2包)を一連の上に表面同志でゴム止めすると、「半端分がくっついている」という意識が弱まってしまいます。

それよりも、下の写真のように半端分を束の裏面にくっつけた方が、最終監査者への配慮が高いと言えるでしょう。こうすれば半端分があることが明瞭ですし、計数過誤も起こりにくくなります。

但し、滅多に起きることではありませんが、別番号の漢方が間違って混ざってしまった場合は、同じ面でゴム止めした方が発見しやすいかもしれません。

7+α分の連:どちら側を向けてゴム止めするか

これは意見が分かれるところかと思います。

ここでも、最終監査者の「情報処理」をしやすくするため、半端の連のイラスト面は揃えない方がベターかと思います。
こうすれば、裏表ともにイラスト面が見える為、「7連ではない」という情報判断が容易にできます。
例えば下の画像の状況なら、容易に7連+2連=9連との判断ができます。

もし、同じ面を揃えてゴム止めをすると、半端を揃えて7連にしたものとの区別が付きにくくなります。

とにかく最終監査者への配慮があるかどうか

やり方はどうであれ、結局は最終監査者が監査をしやすいように考えて行動しているかが重要です。

さらに調剤補助者の立場からすると、最終監査者の気持ちまで理解するのは難しいものです。もし、漢方薬調剤での計数ミスが実際に起きている場合は、マニュアル化して、組織内での方法を統一する方が良いでしょう。

 

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