同業種の競合店が隣接することのメリット・デメリット

マーケティング

業種(小売業・飲食業)や商品・サービス特性、商圏等の側面で備忘録的に整理しています。
特に、家電量販店とドラックストア、飲食店のケースについて考えます。

家電量販店

ここでは、冷蔵庫やTV等のある程度製品寿命があり、値段的にもそれなりに検討が求めれる大型家電品の購入(いわゆる買回り品)を前提に考えたいと思います。

なお、商圏としては複数の量販店が存在できる程度(商圏10万~)を想定します。

まず顧客側のメリットとして、距離の近さから両方の量販店の品揃えや値段、サービスを実際に比べながら、購入の検討を行うことができます。その為、A店⇒B店を見て、またA店に戻って納得したものを買う、という探索行動は、多くの方が経験があるでしょう。マーケティング用語では「集積効果」といわれるものです。

また、店舗側のメリットとしては、当然顧客を奪われるリスクがあるものの、近隣の他のエリアで購入していた人たちが、集積効果により流入することで、単独で立地するよりも客数が増える可能性があります。特に三つ巴の場合は、既に集積している2店舗は単独の店舗より有利に働きます。

さらに隣接している2店舗が、うまく顧客層や品揃えの棲み分けができ、明らかな優劣がない場合は、相乗的な効果を発揮する可能性もあります。(例:Macや玩具販売の有無など)

特に、ポイントカードによる顧客囲い込みに依存せず、「現金値引」を売りにしているケーズデンキは、他の量販店にはない特徴があり、他の量販店との相性が良いような気がします。

なお、同様な「集積効果」が高い業種としては「パチンコ店」も有名です。

ドラックストア

大型家電と異なり、単価の低い商品(いわゆる最寄品)中心の品揃えのドラックストアの場合は、少し違った見方が必要です。

進出してくる店舗は、集積効果を期待するというよりも、競合店からダイレクトに顧客を奪う目的の隣接出店がも多くあります。実際に規模拡大を図るドラックストアチェーンの出店攻勢により、価格面や品揃え面で劣る地域密着型ドラックストアが閉店や廃業に追い込まれたケースは多々ありました。

飲食店

飲食店については、地方都市と前提として、ジャンルの違いに注目して考えます。

まずは、異なるジャンルの店舗が隣接(近接)するケースについて

例えば蕎麦屋とステーキハウス、中華料理屋とイタリア料理等、大きくジャンルが異なり、客層も大被りしない場合は、相乗効果(集積効果)が大きく期待できるでしょう。

意外に、客の取り合いを懸念する方が多いですが、そのエリアの認知度が上がりますし、「A店が混んでいたら、すぐそばのB点でもいいや」と考える方もいるので、どちらの集客力にもプラスになることが多いです。

しかしながら、同ジャンルの場合は、どうしても比較されてしまうので注意が必要です。

特に国民食と言われ、外食の代表格であるラーメン店については、固定ファンが生まれやすく、食べ飽きずリピートする確率も高いので、優越的地位につけなければ、かなり厳しい展開になるでしょう。
(それでも、都心部では立地と人気店のおこぼれだけでもっているような、まずい店も存在しますが・・)

スモールビジネスで飲食店を開業する場合の立地は?

このような隣接(近接)するメリット・デメリットを踏まえて、スモールビジネスで飲食店を出店したい場合を考えます。

集積効果の考えから、安定的な支持を得ている別ジャンルの飲食店の近くに開業するのも、上記の家電量販点的な立地戦略のように効果的かもしれません。人目につきやすく自ずと宣伝効果につながります。

また、味やサービスの割に競合店の不在から集客ができているような飲食店があれば、敢えて近隣に出店するというのも、上記のドラックストア的な競争戦略でうまく場合もあります。不満を抱えていた利用者が早期から流入してくれる可能性があります。(但し、周囲に口外しない方がいいですが)

但し、既成品を販売する小売業とは異なり、飲食店の場合は、やはり「味」や「店主・スタッフの魅力」「サービス」が、より重要なファクターになりますので、それらに自信があれば立地条件の悪さもある程度カバーできるでしょう。

特に、地方都市でテナントを利用する場合は、新規創業で満足のいく物件が見つけられないケースが多いです。

そして、現在はSNSやホームページを活用した認知度の向上も効果的かつ比較的容易ですので、それらでカバーすることも可能です。なお、地方では駐車場の確保も重要であることも忘れてはいけません。(少なすぎると大抵近隣より苦情が来ます)

このような様々な視点を持って立地選択も検討すると、物件探しがより面白くなるかもしれません。

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